Realistic Virtuality: Ryusuke Ito

現実的な仮想性: 伊藤隆介/制作の周辺

幻影をもとめて(2)

P1050243

札幌のギャラリー門馬は、美術作家である故・門馬よ宇子さんのご自宅でもあった。
門馬さんは、現在進行中の札幌市の国際芸術祭の起爆剤となった、市民主催の現代美術展「FIX・MIX・MAX!」を、私財を投入して開催した方としても知られる。
声高に自分の存在を語る人に枚挙にいとまはないが、北海道近代美術館の開設以前からギャラリーや画材店など美術の「受け皿」を開いた荒巻芳さんと荒巻義雄さん、門馬さん、近年だと山本謙一さんなど、本当に尽力する方は謙虚で語らないものだ。

それはともかく、今回はそのギャラリー門馬の、場の記憶を作品に取り入れたいと思った。
娘さんの大井恵子さんから、竣工間もない門馬邸の資料をお借りした。オリンピックを前に、札幌が大きく変化していく時期の、市民が夢見たモダンで、健康的、文化的な住生活への指向がそこにあった。つまり、すっかり我々が忘れてつつある「近代」が、そこにあった。

Trackback

Comment

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
伊藤隆介
映像作家/美術作家
ときどき評論執筆

Ryusuke Ito
Filmmaker/Artist
Part-time Critic
月別アーカイブ
記事検索
  • ライブドアブログ
Realistic Virtuality: Ryusuke Ito