絵本の世界でも、鮫の体内の描写は「ディズニー型」が多かった。
あるいは描くのはピノキオと父親に絞って、周囲の環境についてはオミットするという手も結構あったのは、絵画ならではだ。ミニマムなウソと言えようか。
感心したのは、西村書店から出版されている「ピノキオの冒険」(1992/金原瑞人訳)。
ロベルト・インノチェンティという人による挿絵は、舞台となるイタリア19世紀後半の考証も緻密だ。
鮫の体内も背骨はなく、内臓の雰囲気を全面に押し出している。とはいえ、この「雰囲気」を出すために、別の演出が採用されている。単なる粘膜の壁では臨場感が足りないと思ったのか、人間の大腸を思わせるジャバラのような構造(ハウストラ)が描かれていて、効果的だ。
まあ、腸まで深部に引き込まれたら、ピノキオも口までは戻って来れないと思うけど。
↓「ピノキオの冒険」(西村書店)
http://www.nishimurashoten.co.jp/pub/details/305_851.html