
ギャリソン・キーラの番組の目玉は、キーラの一人語りによる「The News from Lake Wobegon(レイク・ウォビゴンからの便り)」というコーナーだ。
キーラの「故郷」だという、ミネソタ州のレイク・ウォビゴンという小さな町(実は架空の町)の日常を描く物語。この町の四季と、そこに住む普通の人たちの人間模様が、批評、ユーモア、ペーソスを交えて語られる。共感するというよりは、身につまされるようなエピソードが多い。
自作を語るキーラの声を聞くと、「ストーリーテラー」という人たちの存在について深く納得させられる。やはり「言葉」とは口から発せられるときに力を持つものなのだ、とも。とはいえ、これは単なる「朗読」とも、「詩のボクシング」といったけれん味とも違う。
「アメリカ・コラムニスト全集」(東京書籍)の一冊(12巻目)として「レイク・ウォビゴンの人々」が翻訳されている(熊谷鉱司・訳)。これはこれで理解りやすい訳だと思うが、ラジオでの語りの軽妙な部分が伝わるはずもなく、ちょっともどかしい。
それと、横山明さんの表紙イラストと、内容が合っていないのが残念だ。全集だから仕方ないのか。