前々項で、講談社に投稿したことに「驚いた」と書いたことを説明する。講談社、小学館のフラッグシップ誌「少年マガジン」と「少年サンデー」の連載作品を比較してみるとすぐ判る。
1982年ころの少年マガジン(講談社)のラインナップを並べてみた。


「翔んだカップル」のヒットの余波で、ラブコメが多い。あとはスポーツ、学ランものですね。全体的に「マンガ」っぽい絵柄で、あか抜けない。
そして、アニメ系の画はない。三浦みつるの「The・かぼちゃワイン」(下段左から2つめ)だけが、手塚プロ出身だけあって、線が細くてアニメ的。
一方、1982年ころの少年サンデー(小学館)の連載作品。


グッと劇画調の画が多いが、こちらもラブコメ全盛。
「うる星やつら」と古谷三敏の「ダメおやじ」が共存しているところがすごいが、前年までは楳図かずおの「まことちゃん」も連載されていた。異色なのは、梶原一騎・原作、原田久仁信・画の「プロレススーパースター列伝」という実録作品。梶原らしい虚実入り交じった内容だが、プロレスブームと、インテリがプロレスを語る当時の風潮が後押しになった。(1983年に梶原一騎の逮捕で連載終了。)
スポーツと学園ものの体裁をとっていれば何でも許容されるのか、高橋留美子や細野不二彦、岡崎つぐおがSFテイストの作品を描いている。(ちなみに、岡崎つぐおは今敏と資質が似た作家だと思う。)
さらに、松本零士門下で「少年ビッグコミック」に一種の戦記SF「エリア88」を連載していた新谷かおるも、「ふたり鷹」というバイクマンガの連載も持っている。サンデーは格段にSF濃度が高く、(島本和彦氏言うところの)ゆるさと、マニアックなものを許してくれそうな雰囲気があったのだ。
マガジンの女性キャラの大ざっぱさ(とほほ…)と違い、「美少女」というコンセプトも見えている。細野、岡崎、本宮ひろ志のアシスタントだった金子たつお等、画の上手い作家を配している。プラス、高橋留美子である。
だから、当初、美少女SFパロディを描いていた今敏が投稿するとしたら、それはほとんど自動的にサンデーを意味するのである。
なぜ、ちばてつや賞(講談社)かといえば、その対象となる「ヤングマガジン」に、1982年から大友克洋が「アキラ」の連載を開始していたことが大きいと思う。
(つづく)