Realistic Virtuality: Ryusuke Ito

現実的な仮想性: 伊藤隆介/制作の周辺

映画「SUPER 8」(2)

「SUPER 8」には、ほかにも面白いディティールは結構あって、そもそもの8mm映画関連の部分もそれなりにリアル。

主人公たちはホラー映画を作っているのだが、最初は金持ち一家のカメラを使っている。だから、カメラは輸入品のオイミッヒ製(おそらくEumig Makro Sound 65か66 XL)。これはマクロ(接写)撮影もできるし、1コマ撮り(アニメ)もできるカメラ。

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とはいえ、これらのカメラはもともとベル&ハウエル製のカメラが原型。
ベル&ハウエルの本部(シカゴの郊外)と同じ中西部の、オハイオの田舎町でオイミッヒのカメラを購入する必然性があるのか、不自然と言えば不自然ではある。
(ありえない、ということではありません。僕もオイミッヒの中古の映写機をシカゴで買ったことはありますが、状況としてはレアです。)

それが壊れてからは、主人公の父親(警察官)が持っているコダック(シアーズ?)の廉価カメラ。

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おそらく、コダックのKodak Ektasound 140だけど、リフレックス(一眼レフ)ですらないし、これはモチベーションが下がることこの上ない。
それぞれのカメラ(というか、当時のフィルムの感度)で、劇中映画のような映像が撮れるか…というのはまた別の問題(映画にあるような、駅の電灯の下での撮影は無理)だけど、Ektasound 140ではマクロ撮影ができないから、ミニチュア撮影の列車事故がピンボケだったというのはそれなりに納得しました。

検索してみたら、8ミリ映画の啓蒙で有名なブログ「オオノ隊員のブログ」に、「SUPER 8」の大特集が!
痒いところに手が届く、ていねいな検証。すばらしい!!

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伊藤隆介
映像作家/美術作家
ときどき評論執筆

Ryusuke Ito
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