Realistic Virtuality: Ryusuke Ito

現実的な仮想性: 伊藤隆介/制作の周辺

大地震

「ゴールド」(1974)ではロゴが崩壊していたが、1974年はパニック映画がトレンドだったので、やたらとタイトルが崩壊していたのだった。


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う〜む、絶景かな!!
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ゴールド

「オバンデス金曜日」のポスターを見ていたら、すごく聞きたくなったのが、ロジャー・ムーア主演の映画「ゴールド」(1974)の主題曲。

http://www.youtube.com/watch?v=lmJpJdjZERE

テレビ映画っぽいオプチカル処理が、今見るとカッコいいですな。
いかにも70年代風な主題歌もグッド!
とはいえ、「ドラゴン怒りの鉄拳」(1972)とか「カモメのジョナサン」(1973)とか、1974年に日本で公開された映画は、こういうのばっかりですが。

ヨハネスブルグの金鉱を舞台にしたパニック映画だが、どうしてこんな映画見たんだろう。検索してみたら、地方ではブルース・リーの「ドラゴンへの道」(1972)と同時上映だったんですね。
このころの僕はブルース・リーにハマっていたのだった。中でもヌンチャクの製造に余念がなく、お菓子の容器を材料にしたモノから木製まで、4つくらい作った記憶がある。

それはどうでもいいのだが、ネットで検索していてグッと来たのは、「ゴールド」のイラストだ。

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日本のサントラ版のイラスト

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海外のポスター。これを複写したのだろう。

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日本の宣伝チラシ。
複写ではなく、模写で、しかも画がヘタになっている! 手の向きが変わり、なによりロジャー・ムーアにぜんぜん似ていない!
後ろのオジサンの溺れ具合もハードになって、災害の規模が大きくなっている。映画はトンネルの浸水シーンばかりで、こんなスペクタクルではない。やっぱり映画は興行だ!
この情報の劣化のしかたが、なんかグッと来る!


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金塊を模したロゴには日本語まで彫刻されている!
文字の形(欠け具合など)はサントラも同じなので、これが(公式)ロゴなんだろう。


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最近のフランスのDVDのジャケット。
あっ、ポーズがそっくり! 導火線も持ってるし、後ろにオジサンもいる。(左右反対だけど。)


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海外のポスター。これもイラストだが、パニック場面をコラージュするような感じでやや良心的か。
金塊、岩盤、崩壊という連想からだろう、ロゴを立体的に描きたくなるらしい。

どのポスターも、やたらと手を前につき出してるのがおかしい。
「ゴールド」=ロジャー・ムーアが「お手」をする映画というのが、国際的な認識なのか。
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ギャリソン・キーラ(3)

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ギャリソン・キーラの番組の目玉は、キーラの一人語りによる「The News from Lake Wobegon(レイク・ウォビゴンからの便り)」というコーナーだ。
キーラの「故郷」だという、ミネソタ州のレイク・ウォビゴンという小さな町(実は架空の町)の日常を描く物語。この町の四季と、そこに住む普通の人たちの人間模様が、批評、ユーモア、ペーソスを交えて語られる。共感するというよりは、身につまされるようなエピソードが多い。
自作を語るキーラの声を聞くと、「ストーリーテラー」という人たちの存在について深く納得させられる。やはり「言葉」とは口から発せられるときに力を持つものなのだ、とも。とはいえ、これは単なる「朗読」とも、「詩のボクシング」といったけれん味とも違う。

「アメリカ・コラムニスト全集」(東京書籍)の一冊(12巻目)として「レイク・ウォビゴンの人々」が翻訳されている(熊谷鉱司・訳)。これはこれで理解りやすい訳だと思うが、ラジオでの語りの軽妙な部分が伝わるはずもなく、ちょっともどかしい。
それと、横山明さんの表紙イラストと、内容が合っていないのが残念だ。全集だから仕方ないのか。
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ギャリソン・キーラ(2)

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ギャリソン・キーラ(Garrison Keillor)は現存する創作者の中で、僕がもっとも尊敬する一人だ。Wikipediaにあたると、「作家、ストーリーテラー、諧謔家、コラムニスト、音楽家、風刺作家、ラジオパーソナリティー」とあり、どれもうなずける。

彼のラジオ番組「A Prairie Home Companion」は、1974年に始まったNPRのネットワークの人気番組。ドラマあり、詩あり、歌ありの音声のボードビルというか、やや格調の高い「8時だよ!全員集合」みたいな内容。(ちょっと違うか…。)
この番組は「American Radio Company」という名称だった時期もあるが、「ラジオ劇団」という名前がいい。時代遅れと思われていたメディアの仕事をまったく手抜きなく行い、…というか時代と逆行するように豪華になり、しかも滅法面白い。それを毎週放送しているというのがすごい。

「A Prairie Home Companion」はミネソタ州セント・ポール市のフィッツジェラルド劇場という所から、全米へ向けて2時間生放送されている。一時はニューヨークから放送していた時期もあったが、現在はまたミネソタから(あるいはツアー先から)世界に発信しているのが素晴らしいと思う。(といっても英語圏の国々だけど。)

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大掛かりなライブのラジオショーをツアーしながら放送するというには、彼らなりの(あるいは彼らしか必要ない)ノウハウの蓄積があるのだろう。古いジャンルの楽しみを、サテライト中継などの新しいテクノロジーで更新していくというのは、アメリカ的な美しさがある。
この番組にとって、インターネットの時代になっても怖いものはないだろう。そもそもきちんとした仕事だ(し、そもそもこれ以上古くなりようがない)から、新しいテクノロジーを介した聴衆が増えるだけだ。

セント・ポールはミネアポリスから15kmくらい離れた町のようで、おそらくミネアポリスのベッドタウンだろう。ミネアポリスにはブルース・コナーの大回顧展を企画したWalker Art Centerもある。
ミネソタを訪れて、一生に一度はこのライブを見られたら…と願っている。

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ギャリソン・キーラ(1)

iPhoneにSHOUTcastというラジオのアプリケーションを入れると、今までiTunesなどで聞いていた放送が聞けることを発見。
岩見沢への通勤バス(片道の所要時間50分!)の中で、NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)が聞けるなんて夢のよう。
アメリカのリベラルの間では、ビルマの選挙と、ベネディクトゥス16世の進退が大きな話題になっているようだ。(どちらも「報道ステーション」では取り上げていないが。)

それどころか、日曜の朝に「サンデー・ジャポン」じゃなくて、ギャリソン・キーラのショーも生で聞けるのだ。
テクノロジーによって、情報の垣根が確実になくなっているのを感じる。

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↓ギャリソン・キーラの「A Prairie Home Companion」サイト
http://prairiehome.publicradio.org/

※ロバート・アルトマンの遺作「今宵、フィッツジェラルド劇場で」(2006/原題は「A Prairie Home Companion」)の原作、というか元ネタ。
「笑っていいとも!」を映画化するにあたり、架空の“最終回”を(三谷幸喜あたりが)映像化したようなもの…と考えると解り易い。
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添田亜蝉坊と川内康範

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先日、NHK教育の「知る楽」で、小沢昭一が詩人・演歌師の添田亜蝉坊を紹介していた。
亜蝉坊は、“最初の演歌”といわれる「ダイナマイト節」で有名な人ですね。テロ演歌です。ちなみにこの場合の「演歌」は森進一などが歌う現在のそれではなく、語源となった、演説や社会風刺を音楽で行う方。
亜蝉坊の作品(?)の中で「金金節」というのがあり、これがスゴい。

「金だ金々 金々金だ 金だ金々 この世は金だ
 金だ金だよ 誰が何と言おと 金だ金だよ 黄金万能」

という、デミアン・ハーストもABBAもびっくりという歌詞なのだった。
これを聞いていて、「似てる!」と連想したのは、子どものころ見ていた特撮テレビドラマの「正義のシンボル コンドールマン」(1975)のエンディング曲。
http://www.youtube.com/watch?v=73zeIn3hA4o

このドラマの悪役は、ゼニクレージー(その名の通り金の亡者。黒井食料大臣に変身し、日本への食料輸入をストップさせようとする)とか、ゴミゴン(屑山という男に化身する。何度倒されても蘇る不死身の再生能力を持つ)とか、バーベQ(養豚場のブタが変身して誕生したモンスター。デーブ百貫という男に変身し、食料買い占めを行う)とか、Wikipediaから書き写していても頭が痛くなってくるような、アナーキーな内容。
エンディングは「ザ・モンスター」という曲で、くだんのゼニクレージーが高らかに歌っています。

この番組とテーマ曲は、当時のテレビでも、猛烈な違和感がありましたが、率直さとナンセンスさが、なんとなく添田亜蝉坊とテイストが似ている。
それもそのはずで、「正義のシンボル コンドールマン」とか、それに先立つ「愛の戦士レインボーマン」(1972)の原作者・制作者は、憂国の作詞家・川内康範。
公害問題やオイルショックなど、70年代前半の日本の閉塞した社会背景に、川内はテレビを使った唖然坊ばりの風刺をやりたかったのではないかと推測します。(ちなみに「レインボーマン」は、太平洋戦争の日本軍から虐待に端を発し、アジア人殲滅を狙う白人組織“死ね死ね団”と、インドで修行した愛国の戦士ヤマトタケシの戦いを描くというもの。)
70年代でもオリジナルの「演歌」を持ち出してくるというのは大時代的だけれども、演歌の作詞家第1号である唖然坊を意識するほど、気合いが入っているともいえる。さらに、子ども向けの風刺ものだから「そもそも論」をちゃんとやりたいという気持ちもわかる。
ただし、その子ども(僕ですね)がそれをやっと理解するには、35年もかかってしまった次第。

ちなみに「おふくろさん」も、1971年の作。
御大の社会活動を考えてみると、2007年の森進一への「絶縁宣言」は、「お前の歌なんぞ“演歌”ではない」という最晩年の苛立ちとも考えられる。
昭和は、いや明治も大正もぜんぜん終わっていないのだった。


添田唖蝉坊 演歌
http://www.youtube.com/watch?v=zpozbNWb08c

NHKの番組紹介:
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/tue/0911.html#a1
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血は争えない

あるいは、ものすごく有名な話なのかもしれないが、彫刻家のロン・ミュエックにはリチャード・ミュエックという兄弟がいて、この人も特殊メイク・アーティストのようだ。
なんと「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005)のモン・カラマリ人(「エピソード6」の共和軍のアクバー提督の種族)の上院議員とかも作った模様。…って、「スターウォーズ」知らない人に意味不明だ。

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これが、モン・カラマリ。

その動作テストの動画が、YouTubeにUPされていた。

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たしかにそっくり。(注:右の人。)

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念のため、ロン・ミュエック。(注:右の人。)


↓この映像(いつまであるかはわからないけど。)
http://www.youtube.com/watch?v=uQcw_D8i0Po

↓十和田市現代美術館のロン・ミュエック作品
http://www.city.towada.lg.jp/artstowada/artworks/artwork03.html
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街に出てみる

人の多いところは苦手なのだが、やむを得ぬ用で外出。
久しぶりの大通エリア(札幌中心部の繁華街)は、春先で人の出は多いものの、札幌駅周辺の商業エリアにおされて、地上も地下街もなんとなくすさんでいる印象。
PARCOの看板に「サンダーバード展 200円」の看板とあるので、プロップでもあるかと期待してちょっと寄ってみる。

いまどき「200円」というのはすごいが、安いものには訳がある。
会場内には玩具コレクションや、時代背景を示すパネルなどが展示されているだけで、TV番組「サンダーバード」そのものとはあまり関係のないものばかり。これは、1966年ころの「サンダーバード」ブームの諸相を展示する催しだったのである。
ポスターをよく見れば、確かに「Thunderbirds in Japan!!」とある。とはいえ、キャプションは「日本上陸40周年記念企画」としかなく、これから内容を想像するのは難しい。まあ、「美空いばり」「大板血(おおいたち)」のたぐいと言っていいだろう。

素直に「懐かしーい!」「これ、持ってた!!」と楽しめればいいんだろうが、「そういうモード」ではなかったのであまり楽しめない。なにより、「60年代のお茶の間の実物大ジオラマ」の出来がいただけない。上野公園の下町風俗資料館にすら及ばない。「トレーシー一家のモダンなラウンジ」のジオラマも、ただの書き割りだったのには驚いた。たしかにデパートの怪獣ショーを彷彿させ、60年代っぽいレベルではある。
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伊藤隆介
映像作家/美術作家
ときどき評論執筆

Ryusuke Ito
Filmmaker/Artist
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