Realistic Virtuality: Ryusuke Ito

現実的な仮想性: 伊藤隆介/制作の周辺

集合住宅などの建設(19)

作業をしてたら、「ラブラブショー」(青森県立美術館)用に作った模型のNGモデルが出てきた。

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バージニア・スリム・ライトというタバコのミニチュア。(手前。後ろは現在売られている本物。)

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岡崎さんはスモーカーで知られているが、1990年ごろはこの銘柄を吸っていたことは当時の雑誌など(写真は角川書店「野生時代」1990年8月号)でわかった。でも現在のパッケージとはかなり違うので、「時代考証」のためにまた調査。

バージニア・スリム・ライトは、1983年5月発売だそうだ。この時代、みんな吸っていたな。それ以前は、滝沢聖峰などはメンソールの結晶とかを「モクモク西村」で買って、いちいちフィルターにさして吸っていた。
モクモク西村というのは、新宿の紀伊國屋書店本店の向かいの角にあった二階建ての煙草店。今はビルになって、ALOOKという眼鏡店みたいですね。(あ、アイウェア?すみません。)

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最終的な作品はこんな感じ。
結局、タバコはもうひと回り小さい模型を制作。
ほかには消しゴム(MONO)の模型も作ったが、1995年にトンボ鉛筆の商標(ロゴ)が変更になり、デザインも微妙に変わっているのを再現。
「ジオラマボーイ パノラマガール」の原稿の模型は、ネームに写植も貼ったり、枠線を鉛筆で書き足したり、スクリーントーンを貼ったり。

※クリックすると拡大画像が見られます。
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集合住宅などの建設(18)

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スイカ畑の展示の様子。
カメラは地面から上空に移動して、畑を見下ろす位置に移動していきます。
そしてトートツに岡崎京子さんの机の上が現れます。
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集合住宅などの建設(17)

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スイカ畑のテスト用ジオラマ(プリントアウト)を、回転台に乗せて検討中。

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最終的に完成したジオラマはこんな感じでした。
外から集合住宅の窓に入り込んでいくとそこがスイカ畑になっている…というカメラ(視点)ワークになっています。
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集合住宅などの建設(16)

スイカ畑の制作はシンプル。
これまたエッチングで作成したスイカの葉を、貼りこんでいきます。

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集合住宅などの建設(15)

回転する集合住宅の反対側の面には、これまた岡崎京子さんの世界を展開します。

岡崎作品には、南の島、極地など、「楽園」がよく出てきますね。
その代表例が、夏休みを迎える高校生カップルの妄想(?)を描いた、「ハワイ・アラスカ」(1988/「TAKE IT EASY」収録)です。

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カップルがそれぞれ違う「夢」を語ってケンカする…という微笑ましい話です。楽園というのが、自己愛の世界だということを、岡崎さんは手を替え品を替え描いてきたような気もします。

とはいえ、岡崎さんの描く「楽園」は、どれも活躍の(現実的な)舞台というよりは観念上の空間で、共通するのは人間のいない「コミュニケーション不要の地」というところでしょうか。
「pink」(1989)でも、主人公ハルヲは「小説」というコミュ二ケーション能力の成功によって富を得、楽園に脱出しようとするものの、マスコミュニケーションの暴力により、東京に引き止められるという物語になっています。
人類の死滅した世界なども、同じようなフラットなタッチで頻繁に登場しますが、これも「楽園」の変形だと思えます。

この作品では、岡崎さんの描く楽園の例として「夏の思い出」(1994/「チワワちゃん」収録)のスイカ畑を作ってみたいと思いました。

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集合住宅などの建設(14)

集合住宅の模型はカメラに対して回転します。

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模型もカメラも横倒しになっており、模型は左回りに回転しています。映像上では、ローアングルから集合住宅の高層階の窓にとびこんでゆくようなカメラムーブメントに見えます。

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集合住宅などの建設(13)

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仮組みのの途中。仕事場はカオス状態ですね。

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集合住宅などの建設(12)

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ベランダのディティールアップを行います。
手すり、雨どい、物干し、防災壁、室外機などいろいろあり、素材、制作方法も様々です。
物干しは金属製で、エッチングで作りました。

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Photoshop上でマスキングの原版を制作。それを銅板に熱転写。

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腐食液につけて、マスク外のところを溶かしきってしまいます。
あとはシンナーでマスクの部分を洗浄して、塗装して出来上がり。

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ベランダに接着します。
細いので、曲がったり、ポキッ!と折れたりするので注意が必要でした。
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集合住宅などの建設(11)

アパートのベランダを作っていきます。

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パーツの切り出し。アパート本体に柱などの凸凹が多いので、それに合わせたパズルみたいな構成になります。

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ベランダの外壁用に切り出したパーツ類を線付けで接着、その継ぎ目をパテ埋め、紙ヤスリがけして段差をなくしていきます。
これを十数個作ります。結構面倒くさいです。

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数日かかって完成に近づきました。
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集合住宅などの建設(10)

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アパートの壁には、鉄筋の柱が規則的にとび出しています。
窓と窓の間の柱はもちろん、窓と上階のベランダの間にも横たわっていますね。

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いわゆる建築模型ではないので、カメラの画角から見えるところだけ作ります。
手前の二本の柱の、こちらがわには側面がありません(空洞のままです)が、奥の柱の側面はちゃんと塞がっています。
ということは、カメラはこの間を移動するということ、この位置が映像内の空間の、パースの中心ということです。
また、事前にモニターで画角や模型の仕様を検討することは、作業の効率にも関係してきます。
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集合住宅などの建設(9)

団地の本体を作ります。
ベランダや窓など造形的には繰り返しが、存在感やリアリティと不可分です。

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プラバンに窓の位置、柱の位置などのパターンを描いていきます。

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窓に当たるところを、どんどん切り抜いていきます。

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プラバンは1.5ミリと厚く、カッターでは歯が立たない。いや、1つ2つなどなら訳ないですが、なにしろ120個くらい切りとるのはちょっとした労働。階ごとにパーツ分解し、ラクソーなどを使用して効率的に加工。
タテに数本貼付けてある棒は、補強材。プラ板がしなるため。金属や木材で模型のベースを作りたかったけれど、今回は軽量化が最優先。
カメラのスムーズな動きが欲しいからです。
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集合住宅などの建設(8)

模型回転用のアルミの台座(フレーム)ですが、完成したものを見ると大したことがないですね。
でも、強度や軽量化に加え、模型の取り付け用のネジ位置などの関係もあり、僕にしては難易度が高い構造物でした…。

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まず、45°角の部品切断などが多い。

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構造も(僕にしては)複雑でした。
フレームの下部。グレーのブロックがモーターへの取り付け部。
その上の板状の部分は模型を取り付ける面。組み立ても皿ネジを使い、表面はなるべくフラットにする必要あり。当然、ネジ穴も皿穴でなくては、…面倒くさい。

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その裏側。中央のように、ネジとネジの位置が干渉し合う場合も多かった。組み立て、分解には順序が生じてきます。
こういう作業をしていると、自動車の設計などをしている人を素直に尊敬できます。

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なにより面倒くさいのはネジの寸法切断。
ワイヤーカッターのに左側のネジが加工前、上が加工後。
手のひらが痛くなってきました。
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集合住宅などの建設(7)

今まではベニヤ製の回転台座でしたが、模型のスケールが決定した段階で、本番用の骨組みも制作します。
丈夫だがモーターの負荷を考え軽量である必要があるので、アルミを使うことが多いです。

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後日、模型を取り付けるとこういう使い方になります。

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集合住宅などの建設(6)

段ボールの紙工作に写真を貼ったモックアップを、実際に回転台に乗せて、撮影してみます。

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模型が横倒しなのは、カメラの動きが地面から屋上まで至る上方への移動のため。もちろんカメラも横倒しです。
途中、カメラ側のレンズもいくつか換えて、パースのつき具合(空間感)について考えてみます。

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効果的な画角の映像を得るには、現在のモックアップのサイズでは足りないことがわかり、模型を継ぎ足すことに。
こういうことをくり返します。
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集合住宅などの建設(5)

模型サイズ検討用の回転台ができたところで、模型のアタリを制作します。これを乗せてより具体的に問題点をつめるのです。

まずは団地の取材写真を加工して、テクスチャを制作。
対象が巨大なこともあって、取材写真は広角レンズで撮影しているのでパースや歪みがあり、そのままでは使えません。Photoshopで「壁紙」状に編集していきます。「回転」「自由な形に」「コピー」「ペースト」の繰り返しです。
僕のインスタレーション作品は「ローテクで良い」とおほめいただくことがあるのですが、デジタル技術の恩恵で短期間制作できていると思います。

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段ボールで台紙も制作。

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はりぼての模型完成。
ちょっとした紙工作でした。冬休みの宿題は終わった!
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伊藤隆介
映像作家/美術作家
ときどき評論執筆

Ryusuke Ito
Filmmaker/Artist
Part-time Critic
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